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これからの社会に新風を起こす「ABS世代」とは?

50歳以上過半数社会のビジネスチャンスとは? Vol.2

私が提唱したABS世代は「アクティブ・バブル・シニア」の略称です。その名のとおり1980年代後半のバブル期、そしてバブルに向かうまでの時代から色濃い影響を受けている世代を指します。

 ABS世代の先頭を走る昭和30(1955)年生まれの人は2020年に65歳を迎えて「前期高齢者」となりました。最後尾は昭和43(1968)年あたりまでの生まれで、この年齢の人たちまでが大学生の新卒バブル期入社組となります。この現在50代半ばから69歳までの世代には共通要因があるのです。

 ABS世代は、1960年代の高度経済成長期に幼年期を過ごし、戦争体験がある親から多大な家族愛を注がれて育ちました。思春期、そして大学生の頃には、音楽やファッション、スポーツ、その他さまざまな娯楽から大きな刺激を得ます。

 中でも1975年創刊の雑誌「JJ」、1976年創刊の雑誌「POPEYE」、1978年に日本公開されてディスコ・ブームに火をつけた映画「サタデー・ナイト・フィーバー」は、ABS世代に対する“3大インパクト”です。

 こうした時代を背景に若者たちが遊び、楽しむことで、新たなカルチャーやライフスタイルが形成されました。そして彼らは1980年代に社会人となり、やがて空前のバブル景気を体験します。一方、男女雇用機会均等法が制定されたのは85年で、女性の本格的社会進出の第一期生もABS世代の女性です。

 こうして振り返ってみると、ABS世代は生まれてから社会人になり、結婚生活をスタートする時期すべてで、「戦後日本のいいとこ取り、おいしいところ取り」をした世代とも言えます。成長過程で愛され、若い時にはバブルの体験まであるABS世代には、特有の価値観や指向性があるのです。

 そんなABS世代も、いまや50代半ばから60代後半です。終身雇用時代に社会人になったものの、その後に雇用環境が劇変し、今では「人生100年時代」と言われ、今後の「仕事・お金・生き方」に関してさまざまな悩みを抱えている世代でもあります。

 つまりABS世代は、それまでのシニアにはない価値観をもとにアクティブなライフスタイルの術を知っているプラス面と同時に、今後の人生設計が描きにくいマイナス面も抱え持った世代なのです。

 だからこそ、ABS世代は従来のシニア市場になかった「ドキドキ・ワクワク・ハッピー」なライフスタイルを実践し、「人生100年時代のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)」を実現して、これからの世代に引き継いでいく責任があると私は考えます。


【えとき】
ABS世代のライフスタイルに大きな影響を与えた雑誌「JJ」と「POPEYE」。
(雑誌は筆者所有)


株式会社ワントゥワン
顧問 / 鈴木 準